ヒンデンブルグ号事件

水素社会の歴史の御話をする上で、水素=大爆発、非常に危険というイメージが全世界の人々に知れ渡った事件として、ヒンデンブルグ号爆発事故が挙げられます。

 

1937年ドイツの飛行船のヒンデンブルグ号が、ニューヨークに到着して、飛行場にある鉄鋼塔からロープで飛行船をくくる点検・作業中に、大爆発を起こし、数十人以上が亡くなった事故がありました。

 

当初、水素が関連した大爆発という報道が全世界にニュースで駆け巡りました。私を含めて、数十年ほどの間、水素=爆発・危険のイメージが植え付けられておりました。

 

しかし1998年に、NASA(アメリカ航空宇宙局)が、声明を出しました。

「ヒンデンブルグ号事件の爆発原因は水素ではない」。

 

「真相は、静電気の放電による、船体の外皮が発火して炎上したものである。酸化鉄とアルミナ混合塗料が直接の原因である」。

 

この声明をわざわざNASAが出したのは、来るべき水素社会に向けて、上記の水素のイメージを変えたい。真相を発表する必要がある。という考えから発表に至ったようです。

 

1930年代のドイツは、ヒトラー政権の時期でした。ヒンデンブルグ号の爆発原因は、船体の外皮の技術的なミスと発表するより、水素爆発にしたままの方が、政権にとって都合が良かったとする考えがあったようです。

 

最近では、水素社会の現在に至る歴史を調べております。こういったエピソードも、環境エコマジックの中に取り込んで行こうと思います。

 

出典 トコトンやさしい水素の本

   新エネルギー・産業技術総合開発機構 水素エネルギー協会 より